何度か耳にしたことのある入場曲。
パイプオルガンの音色が鳴り響くなか、ゆっくりと開かれた扉の向こう、新郎新婦、つまりは、妹と彼氏の姿が見えた。
一歩ずつ、一歩ずつ、腕を組み、歩き進むふたり。
眩しい白のウェディングドレス、妹の姿をはじめて見た瞬間に感じたものは、大きな驚きでした。
はじめて、妹が、ひとりの女性であるということを発見した、という驚き。
それはとても新鮮な感情でした。

式はとても簡素なもので、指輪交換と誓いの口づけだけ。賛美歌もありません。
列席者も、両家合わせて7名のみ。
2階から式を見ていた見学者(外部のひとが見学できる教会らしい)のほうが多いぐらいです(笑)

なんだかんだいってもシスコンですから、絶対泣いてしまうだろうなぁと思ってました。
ところが、伯母さんと叔母さんが泣くのが早すぎて、「はやすぎやろっ」って心の中でツッコんでたら、泣くタイミングを逃しました。
だって、扉が開いた瞬間に泣き出すんだもん(苦笑)

母が家を出て、父と祖母が他界し、まだ高校生だった妹をずっと気にかけてきてくれたおばさんたちだからこそ、きっと誰よりも、妹のウェディングドレス姿に、感極まるものがあったんだと思う。
それにしても、ちょっと早すぎだけど(笑)

式が終わってから撮影の時間があって、入れ替わり立ち代わり、新郎新婦を囲んで、何台ものカメラで写真におさめました。
このときほど、自分と妹のツーショットを自分で撮りたい!(無理だけどw)と思ったことはありません。
撮ってもらった写真をあとで見ましたが、アングルとか寄り具合がイメージと違って、かなり残念。。
(撮ってくれた付き添いの方ごめんなさいm(__)m)

その後、着替えたふたりと、場所を変えてみんなで食事会。
終始なごやかで、温かくて、ほの甘い空気のなか、ステキな時間を過ごすことができました。
良い人たちに囲まれて、巡り会えて、本当に幸せです。

帰りの新幹線では、幸せを思い出す、、、こともなく、調子にのって飲みすぎた日本酒のせいで熟睡してました(苦笑)
重い荷物と重い身体を引きずって、家に着いたのは3時間後。
スーツを脱がないまま、そのままソファでまた寝てしまいました。。

夜中に目を覚まし、シャワーを浴びてひと息。
引き出物やら、お土産やら、なぜか大量に紙袋に入っている赤飯(笑)やらを片付けていると、封筒がひとつ出てきました。
いつどこで紛れ込んだのか記憶にありません。
封筒には妹の字で「あんちゃん」と書かれています。
訝しがりながらも封筒を開けてみると、なかには2枚の便箋が。

---------------------------------------

(前略)
早くにお父さんが亡くなって、そしてばあちゃんも亡くなり、兄妹だけでという状況でも大きな苦労をすることなく生活ができたのは、あんちゃんがいてくれたおかげです。本当に感謝しています。ありがとう。
(中略)
一番は身体が心配です。ちゃんと定期的に検査はして下さいね。私に子どもが出来たら、ちょっと風変わりなおじさんとして長生きしてもらわないと困るので。結婚も出来るならしてほしいけど、あんちゃんの人生なので元気でいてくれればそれでいいと私は思っています。
(中略)
これまで私を支え養ってくれて本当にありがとうございました。改めて心から感謝しています。

---------------------------------------

これを読んで泣いたかどうかは秘密ですが、もう、暗記するぐらい読み返しました(笑)
いまは、ふたりの写真とともに、父と祖母の遺影の隣に置いてあります。

早くに失ってしまった家族団欒の幸せを、これから少しずつ取り戻せるよう、切に願っています。
そして、ちょっと風変わりなおじさんとして、甥や姪に会えるよう、自分ももう少し生きていきたい。


本当に。本当におめでとう。
こんな兄に、感謝してくれてありがとう。
幸せに、たくさん長生きしてください。

貧血

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貧血になった。
40年近く生きてきて、はじめての体験。
それは予想していたよりも、ずっと怖い感覚だった。

そもそもの発端は、健康診断とインプラント手術のダブルブッキングにある。
ある、とか言いながら、予定を入れたのは自分だ。つまり自業自得なのだ。

インプラント手術の内容は、前もって院長先生から説明を受けていた。
PRGFという、自分の血から血漿とフィブリを分離・獲得し、治療に使い再生を促す技術を使うということをだ。
(詳しくは http://www.prgf-japan.com/about_prgf/ 参照)
なーのーに、健康診断で先に採血しちゃったもんだから、歯科助士さんも院長先生も大激怒(嘘です)。左腕に貼られた絆創膏を見つけて、「ま・さ・か、今日採血してきたんですか?」
・・・ごめんなさい。そのまさかの人です。

日を改めることもできますよ、と言われると、なんだか逆にひけなくなり、大丈夫です!と笑顔で快諾。
逆の腕で採血開始。
事前に鎮痛剤を飲んでいたせいか、ぼーっとしていて、採血後はちょっと眠いなあと感じた程度。
それが、、数分後、なんだか気分が悪くなって、体中で冷たい汗がじんわりと流れ落ちてきた。
チカチカして視界がよく定まらない。院長先生の声がどんどん小さくなって聞こえない。
沈むように世界から遠去かっていく感覚に、いまだかつてない恐怖を感じました。。
貧血って、こんなに怖いものだったんですね!!


ここでひとつ、声を中にして言いたい。
なぜ採血とは、あんなにたくさんの血を欲するのかね?1本(試験管みたいなやつ)ではだめかね?3本も4本も抜いて何スルカネ?

医師の卵のみなさん。
未来に向けて、血ではなく、涙とか鼻水とか唾液でも検査できるよう、ぜひ研究をお願いします。
ピーとかピーでもいいです。
女医の卵のみなさん。いや、女医さん。よろしくお願いします。眼鏡白衣大好きです。
いつの間にか、綺麗に、美しく見られたいと思うようになり、行動や言葉の選り好みをし、そつなく、無難に外見を作るようになった。

本来の自分はといえば、とても美しいなんてもんじゃなくて、ベッドの周りにバイブやコンドームを散乱させたまま小説を読みふけるような、混沌に近いものの中に身を置いている。

人は誰でも、本来の自分の一部を削ぎとってどこかへ仕舞い置き、代わりに、自分が立ち回りをするうえで必要と思うようなパーツを用意して、融合させる。その行動に、良い悪いといった概念はない。

周りが失望するよりも早く、わたしたちはわたしたち自身に失望する。
それは概ね、そう在ることができなかったというよりは、そう見せることができなかったということにだ。

だれしもが、自らの可能性を過信し、そして絶望している。
でもそれがいい。まずはそこからだ。
打ちのめされて得られたものの強さを、みんな知っているはずなんだ。
最近のこととか

バナナマンの日村がかわいすぎる。
ひまを作ってはYouTubeでコント見てる。生でみたい!

花粉症の薬が効きすぎる。眠すぎる。
ただでさえ普段のび太みたいに即寝するのに、さらに輪をかけて即即寝状態。
毎晩、布団に入って携帯のアラームを確認して枕元に置いたあたりから記憶がない。なんだかこわい。

ひさしぶりに田舎に帰り、ひさしぶりにゴルフのコースをまわった。
ほぼ5年ぶりにクラブを握り、練習もしなかったので、それはもう、散々なスコアに。。
あまりに悔しくて、戻ってからは毎週末打ちっぱなしで練習してる。
秋にまたコースに行く約束をしたので、次は絶対110切る!(野望は小さく)

とある飲食店でのこと。
ビールを注いでいるバイト女子に、マスターがやや怒った口調で
「だめだめ、それはビールじゃない。泡ばっかりだろ。全然だめ。ちょっと代わって」
そう言ってビールを注ぎはじめたマスターのジョッキを目の端で追っていると、なんと、バイト女子よりさらに泡が多い、、
やはり注目していたであろう、カウンターのお客さんたちの間に、ピリっとしたへんな空気が流れた・・・。

年明け、妹が彼氏といっしょに栃木に移り住みました。
ここから2時間半もかかる、遠い、遠い場所です。
どうやらそろそろ、バージンロードを歩く練習をしなくてはいけないのかもしれません。
そしてそれは、きっと遠くはないでしょう。
4と5は隣にいるけれど、20まで待たないと重ならない。

4と6はちょっと離れているけれど、待つのは12まででいい。

フィーリングが合うってきっとそういうこと。

近くにいるからいいってもんじゃない。


ドラッグストアでレジ待ち中。
目の前を小さな羽虫がひらひら。
行ったり来たりを何度か繰り返したあと、前に並ぶ女性の頭にぴたりと止まる。
条件反射(?)で「フッ」と息を吹きかけてしまってから、やってしまったと気付く。
当然のように、何事かと振り返る女性。
「すいません、虫が、、」
と、弁明の途中でレジが開き、不審な顔をしたまま、一個向こうのレジに進む女性。
ち、ちがうんです。変質者では、まだないんです。

そんな誕生日。


レンタルビデオ店で品定め中。
携帯でランキングサイトをチェックしながら、残暑の名残でホラー映画を探す。
一心不乱にパッケージをひとつひとつ眺めていたら、突然、ひんやりとした冷気が太ももに絡みつく。
「うおっ」と、思わず小さな奇声が漏れる。
こわごわ視線を下げて、その正体を探る、、と、そこには、ビニール袋ごしに確認できる、溶けてとろとろになったアイスの袋が。
ガ、、ガリガリくん失踪事件・・・!

そんな誕生日。


また1年生きれてよかった。
もう1年がんばって生きよう。
結果がんばれなくっても、がんばったことにしよう。
結婚願望はないけれど、「はじめてのおつかい」を観ていたら子供が欲しくて仕方なくなる。
なんだよもうこの番組、独身男がひとりで観るもんじゃないがな(笑)

いままでの人生において、いまこのときわが子がいるような選択肢は、はたしてあったのだろうか。
結婚のタイミングなら2回ぐらいあった。と思う。たぶんきっと。
結婚て、絶対にやり直せないもんだと、そう決めつけていたことが、もう一歩前に出るための足枷になっていたんだっていまならわかる。

来年で四十。
外見だけ老いが進んで、中身はずっと変わらない。
でも、何かが少しずつ削られていっているのを感じる。感性とか、記憶とか、ひたむきさとか。

あ~ 恋したい。
そろそろ、「結婚しない」から「結婚できない」に変わっていく時期。
あ~ 恋してみたい。恋のような何かでもいいから。
家から駅に向かう途中、路地裏を歩いていると、小さな男の子がキックボードに乗って颯爽と横を駆け抜けていった。
元気な後ろ姿を微笑ましく眺めていると、10メートル先ぐらいで突然転倒。それも、かなりの勢いで。
頭は打ってないようだが、心配なので駆け寄って声をかける。
「大丈夫?」
問いかけに無言で頷いた顔には、「おれ泣くからね?おれいま我慢してるけどもう泣いちゃうからね?」と書いてある。
「けがしてない?手見せてごらん」 両手とも傷はない。ほっと胸を撫で下ろす。子供は血を見ると泣き出す生き物だ。

男の子はゆっくり立ち上がった。
膝が痛むのか、ズボンをめくる。そこには、血が滲んだ擦り傷が、、 やばい!これは泣くぞ! ますます涙目になる男の子。このままでは「あやしいオジサンが子供にイタズラして泣かしている」と通報されてしまう!(まじで)

必死に脳細胞を総動員させるが、まったく名案が浮かばない。 ...と、急に男の子が冷静になった。 「あ、ゲオだ」 「え?あ、そうそうゲオで借りたんだよ」
「ふ~ん。返すの?」 「うん。これから返しに行くとこ」 「ふ~ん」 ・・・どゆこと?
なぜゲオに興味持った?
なぜゲオの返却袋で泣き止んだ? なぜ~~~?! そのあと男の子は、何事もなかったかのように、またキックボードに乗って走り去った。 「危ないから歩いていったほうがいいよ」という忠告に 「家近いから平気!」 と、爽やかな笑顔を残して。。 子供って不思議生き物だ。
千切れ千切れになったのに
わたしはこれから別れるべきひとの元へと帰る
明かりの消えた哀しみの最中へと

こんなにも間近に捉えていたはずの物物が
なにもかも薄れて目に映る
窓も床もテレビもソファもレンジも掃除機も棚もそこの写真立てもタオルも鏡も全ての色も
閉ざされた意思の向こう側に在るような気がした

伝わらなかった想い
わたしの想いは
どこで泣いているのでしょう
涙を忘れたわたしの代わりに
どこで泣いているのでしょう
木漏れ陽に 吹く風
満ち足りて さみしい
雨のなか ふたりで
肩寄せた 遠い日
時はいま 輪の中
思い出の 名を呼ぶ
振り返ると 灯火
焦げ止まぬ 彼の影
雨が止むのを待つ人より、雨の中を走り出せる人が、目的地へと先に着く。
当たり前のことを当たり前に行動できる人って、ほんとにすごいなあって思う。
背中を押して送りだしてくれる存在って、そんなにいないって知っていても、いつか、天災か何かのような突拍子も無い出来事が、スタートの合図を出してくれるかもって、ほんのり期待をしていることがある。
はじまりは自分の中にしかないのに。
立ち止まる時間が長いほど、歩き方を忘れてしまうってわかっているのに。

「時間を止められたらいいのに」なんて思う人が多いのは、やりたいことがあって時間が足りないからではなく、このまま時が流れていくのが怖いからなんだと思う。
時間が有限でも無限でも、船は漕がなければどこへも着かない。
それこそ、風任せの行く末だ。

ヨーイ、ドン。と、思い切り手を叩いて合図を出してみる。
ヨーイ、ドン。
間違って走り出したって、それできっといいんだと思う。
受け取って、満ち足りて、感じるものが幸福であり、勝ち取って、脱ぎ去りて、手に入れるのが自由である。
幸福の傍には軋轢が居り、寄る辺なき場所に自由は向かう。
幸福を抱えた自由は無く、自由の過程に幸福は無い。
あなたは幸せでも自由ではないだろう。
わたしは自由でも幸せではないだろう。
自分の背中
自分じゃよく見えないから
他人から見た自分のカタチを気にする
カタチに合わないと気になる
気になるから合わせようとする
そしてちぐはぐになる
そして疲れる

あなたは視線を窺う
あなたを見た
誰かの目にうつるあなたを裏切らないように
それが偽りだと悟られないように

必要なのは
あなたを真っ直ぐに映すたった一枚の鏡
もしくは
あなたの背中に回って鏡を支える友だ
ぶつぶつのできた肌や
ちょっと曲がった背骨を見て
優しく微笑んでくれる友だ
世界を変える
あなたが変える
あなたが変われば、世界は変わる
なにもかもが思い通りにはならないけれど
新しい何かを感じるでしょう

願うだけではなく
想うだけではなく
祈るだけではなく
託すだけではなく
目と、鼻と、耳と、口と、手と、足と、体で
世界を変えるために、あなたが変わる
やけぼっくいに火がつくのは、何も男女関係ばかりではないようで、あんなに苦労してやめたタバコをまた吸い始めてしまっている。
いまはまだ軽めのものだが、また元のラッキーに戻ってしまうのは時間の問題。のような予感。
そもそも、軽いからといって害がないわけではないのだが。

そのくせ、匂いがつくのを恐れて手袋をして吸ったり、外出するときはタバコを持ち歩かなかったりと、無駄な抵抗をしている。
じゃあ吸わなくちゃいいのに。というご意見はごもっとも。

好きだったものをまた求めるように、好きだったひとにまた会いたくなる。
未練、ではなく、懐古、に近い。
そこからまた何かをやり直すというより、甘い思い出の湯船に一瞬だけ浸かって、少しだけ温まりたい。

なんてことを考えるのは、だいぶ気分がへこたれているからでしょうか。
朝から吹き続ける暴風で、桜がことごとく散り落ちゆくからでしょうか。
わたしやわたしたちが本当に必要としているものは、まだ手にしてはいないのでしょうか。


やけぼっくいはどこだ。

まだ燃え尽きていない、やけぼっくいはどこだ。
2012年3月11日午後2時46分

震災からちょうど1年後のその日、その時間を、コンビニに駐車した車の助手席でむかえた。
運転席と後部座席には友人たち。
車載テレビに流れる追悼式の映像。
黙祷の合図とともに、周囲にはサイレンが鳴り響いた。
目を閉じて手を合わせる人々は、いま何を思うのか。

震災後に福島へ帰郷するのは2度目だが、前回は親戚回りをするだけで時間がなくなってしまったため、友人たちと会うのはひさしぶりだ。
いっしょにご飯を食べ、遊び、酒を飲みながらくだをまいて、風呂に浸かり、同じ部屋で寝る。
変わらないことに安堵して、たくさん笑った。

新聞には毎日、放射能の線量が掲載されている。
スーパーで野菜を買う伯母は、「どうせお金を出して買うなら福島産じゃないほうが安全じゃない?」と笑って言った。
毎年お米を送ってくれるおじからは、震災前の古米が届いていた。
何も変わっていないわけではない。

帰る場所は福島で。戻る場所は東京で。
暮らしはここに根付いているはずなのに、帰郷するたび、まだ旅をしているような気分になる。
いつ終わるのか。いつかは終わるのか。終わるようなものなのか。
指定された時間にだけ繋がる電話
まとめて返ってくるメール
わかりにくい答え
ずるずると何かにすがっている嫌悪感
適当な会話
たまにするミスだけ上司に見つかる
机の奥に隠した嘘
友だちの友だちは赤の他人
忙しいふりをして歩く
貸したものが返ってこない
仲間はずれがこわい
人間がこわい
同じ状況にあるという馬鹿みたいな安心感
空っぽのシャンプーボトル
誰かの長い髪
誰かの甘い言葉
誰かもわからないアドレス帳
繋がりは弱くて脆い
自分も
世界も


「雪、降ってるよ」

携帯を閉じる 目を閉じる
窓を開ける 目を開ける
大粒の雪が
何度も 何度も降っていた

体に触れえる
確かなものだけが
ここにぼくらを繋いでいる

この雪は積もるだろう
いまじゃなくても
きっといつかは
日付が変わる少し前に家を出た
近くに小さな神社があることを思い出して
ゆったりとした坂道をふたりで下った
白い息が溶けて消える冷たさ
寄り添うほうの肩だけが暖かい

誰もいないだろうと思っていた境内には
驚くほどの人だかりがあって
ちょっとだけテンションがあがる
やばい、大晦日やばい
顔を見合わせながらあやふやな列に並ぶ
みすぼらしいはずの本尊が
いまだけは妙に堂々として見えた

恥ずかしげに始まったカウントダウンが
だんだんとボリュームを上げていく
5・・4・・3・・2・・

終わる
今年が終わる
始まる
今年が始まる

前へ前へと押し出され
いつの間にか目の前の人垣が散っていく

賽銭を投げ入れる
柏手を打つ
頭を垂れて目を閉じる
「どんな願いことしたの?」
階段を下りていく背中に訊く
「うーん。。幸せにする、的な?」
それは願いではなく、誓いでした

ひとりきりでは愛は生まれず
愛だけで愛は続かず
話すだけでは心は知れず
引かれゆく手の強さだけを信じた
あなたが大好き
風が吹き出る場所
雲が湧き出る場所
大地が固まる場所
空がはじまる場所
わたしの生まれた場所
いまはもう無いけれど
それを知る人はそこかしこにいて
ずっと繋がりを感じることができる
あの夕焼けの向こうに
温かさを感じることができる
明日を生きよう
もうちょっと生きよう
もっともっと生きよう
いつかは終わる明日でも
それを明日にはしたくない
日常品の詰まった
レジ袋をぎゅっと掴んで
仮住まいの我が家へ帰ろう
停電の夜に溶け出した 冷凍庫の住人たち

先輩 後輩 入り乱れて 床に 隙間に

食べかけの 壊れかけの 忘れかけの

痛みがあふれるものばかり 鮮度が保たれる