先に異変に気づいたのは、妹のほうだった。
「あんちゃん。なんかさ、変な音聞こえない?」
居間にいたわたしは、そう言われて耳を澄ませてみたが、とくにかわった音は聞こえてはこなかった。
「ちょっと、こっち来てみて」
テレビを消し、手招きされるまま台所にほうにいってみる。
なるほど、確かにどこからか音が聞こえてくる。ボリュームを小さくしたテレビの砂嵐のような、ガスの漏れる音のような。
「この下あたりじゃない?」
妹が指差したのは、流しの下の引き戸。食器などが収納されてある。
引き戸を開けてみるが、取り立てて変わった様子もない。だが、確かに音ははっきり聞こえるようになった。
懐中電灯を探してくると、引き戸の奥に光を当ててみる。
と、まるでホースで水をかけられたかのような、水滴だらけの壁があらわれた。
「水、漏れてる!」
給水管の接続部あたりから、水が音を立てて噴出していた。
それも、水と温水の両方の管から。
慌てて栓をしめようとするが、なぜか逆に水量が増えていく。
焦れば焦るほど水は噴出していった。
妹も、突然の出来事に固まっていた。
「やばい。どうしよう。…あれだ、水道局!!…いや、それまでに家が沈没する!?」
支離滅裂になった兄と妹は、台所をあーでもないこーでもないと右往左往。
とりあえずこの溢れてくる水をなんとかしようと、兄は止水栓を探しに外へ、妹はタオルをとりに走る。
すでに時間は8時をまわっていたので、日が長くなったとはいえもう外は暗い。
必死に家の周りを探すこと数分、やっと止水栓を発見。
蓋を開け、これで止まってくれるようにと祈りながら栓を回した。
台所へ戻ると、そこには半べそをかいた妹が、大量のタオルの上で立ち尽くしていた。
とりあえず水は止まっていたが、フローリングには数センチの水がたまり、子供が喜びそうな簡易プール状態になっていた。でもおとなは喜べない。
これはもう、タオルでどうこうできる量じゃない。
かといって、これを吸い出す機械なんてない。
腕組みして考えてあぐんでいると、ふと、あるものが目にとまった。
それは、床下貯蔵庫の扉だった。
扉を開け、貯蔵庫の隙間へと水を流しこんでいく。これでほとんどはなくなるだろう。
騒ぎも一段落したところで、タウンページ片手に電話をかける。
このままでは、お風呂にはいれないどころかトイレも使えない!!
「すいません。いま家の給水間が-(中略)-修理に来てもらえないでしょうか?」
「かしこまりました。いま担当者と調整をしますので、明日の朝折り返し連絡差し上げます」
「あ 明日!?」
冗談じゃない。水が漏れなくてもうんこが漏れる。
それなら簡易プールで現実逃避してたほうがましだ。
とりあえずそこは断って、別のところへ電話する。が、そこもだめ。次も、だめ。その次も、だめ。
祈るように電話した4件目…
「わかりました。それじゃ、いまから行きますんで」
やった! やっぱりこうゆうときは、有名どころより町会社だね!!
-そして二時間後。
やっと水が使えるようになり、お風呂もトイレも大丈夫。
原因は、給水管の老朽化でした。取り外した管を見ると、腐敗してボロボロになっていた。(10年ぐらいが変え時期らしいです)
「よかったよかった。あんちゃん明日朝早いから、先に
「あたしお風呂に入るから!!」
(・_・;)
あぁそ~ですか。
先に言ったもん勝ちですか。
別にいいけどね!ゆっくりうんこするからいいけどね!
(ぎりぎりセーフ)
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