たとえば
世界が終わるとき
この時を思い出したりするのでしょう
たとえば
向かいの席で並ぶ恋人たちを見て
決断の確かさを疑うのでしょう
寄り添い合うことから
別れ歩きゆくことへ
そよ風でひらひらと翻るような
吊るしたハンカチの、裏と表
もう何も、誰も、帰れない
振りほどいたのはわたしでした
たとえば
あなたが笑うとき
苦しいぐらい幸せでした
いつかは
世界も終わるけど
苦しいぐらい幸せでした
たとえば
世界が終わるとき
この時を思い出したりするのでしょう
たとえば
向かいの席で並ぶ恋人たちを見て
決断の確かさを疑うのでしょう
寄り添い合うことから
別れ歩きゆくことへ
そよ風でひらひらと翻るような
吊るしたハンカチの、裏と表
もう何も、誰も、帰れない
振りほどいたのはわたしでした
たとえば
あなたが笑うとき
苦しいぐらい幸せでした
いつかは
世界も終わるけど
苦しいぐらい幸せでした
ぼくがスーパーマリオで遊んでいるとき
彼女は暗い天井を見上げていた
ぼくが女の子とセックスしているとき
彼女はカウントダウンをはじめていた
ぼくがエヴァンゲリオンを観ているとき
彼女は準備を終えていた
ぼくが眠りにつこうとするとき
彼女は闇を飲み込んでいた
ぼくが夢の中にいるとき
彼女は闇に飲み込まれていた
ぼくが目覚めるとき
彼女からの手紙が届いた
「ありがとう。ごめんなさい。」
返事が届かない
もう、届かないんだ
夢うつろう
視界が揺れて
まどろみ消える
恋知りて
恋失い
恋焦がれ
愛知りて
愛深まり
愛に燃ゆ
夢交じり
心が揺れて
まどろみ悶え
恋が 愛が
ただ胸を突く
陽だまり色の公園と芝生
明るく笑う家族や恋人たちに紛れる
小説と クッキーと 紅茶と
走る犬 土のにおい 重なる声 光の反射
手から放れた風船が逃げていく
踊るように、流れるように
じんじんと届く、あたたかなもの
じんじんと届く、やわらかなもの
いついかなるときもこんなふうでありたい
何かが終わるときも始まるときも
穏やかに
ただ降り注ぐのを待つように
両手を広げて受け止めたい
ブラインドの足元から飛び込む明かり
光沢を帯びた机に当たって、跳ねる
目を閉じてまぶたの裏ににじむ模様を見ていた
もう二時間もたつ
ぼーっとしていると、時計の針に置いて行かれるよう
わたしはあまりにもひとりで
ひとりゆえに
なにも近寄ることのない最下の部屋のなか
足元から世界がめくれるような
劇的な変化を静かに待っている
地震のような
津波のような
震えるもの
揺さぶるもの
とにかくは、存在自体をシェイクするようなもの
それをだ
あなたが思うように
わたしが思う
あなたたちが世界を変えたいと思うように
わたしたちが思い
変えたいと祈る
祈る
公式の解き方に気づくように
あのひとのあのときの気持ちがわかるように
いつかだれでも気づき、知るのでしょうか
一瞬でも早く露呈してしまいたいわたしが
一生隠しておきたいあなたのそばにいる
小さな風でバランスを崩してしまいそうなふたりを
秘密と、それに近い嘘だけが繋いでいる
あの時わたしは、激しい雨と風にまぶたを塞がれて
正しくはない愛しかたでも
人は人と深く交わって生きていけることを知らされた
絶え間なく歩き、走る毎日
たまに現れる給水所で
孤独感と罪悪感で満たされたボトルを渡される
わたしはそれを両手で払いながら
また歩き、走っていく
目指しているのはゴールじゃなくって
ただ、立ち止まれば終わってしまうから
振り返るのがこわいから